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電源IC選定後にやるべき設計レビューチェックリスト

2026-05-05 · 6 min read · by ScoutLabo
電源ic ldo dcdc デザインレビュー ti tps544b28

電源ICの選定が終わったら、次は周辺回路と基板配置のレビューフェーズ。データシートの「Application Information」を読んだはずなのに、いざレイアウトしたら抜けが見つかる…というのはよくある話です。

この記事では、TI の TPS544B28(PMBus付バックコンバータ)や LM317(汎用LDO)といった代表例を題材に、設計レビューで必ず確認したい10項目をまとめます。

1. 入力デカップリングコンデンサの実装

チェック内容: VINピンに対する0.1uF + 10uF(電解 or セラミック)の組み合わせがあるか、配置がIC直近か。

TPS544B28 のように複数のVINピンを持つICでは、それぞれに対して入力コンデンサを分散配置するのがTI推奨です。1個でまとめるとループインダクタンスが大きく、リップルが規格外になります。

2. 出力コンデンサの容量とESR

チェック内容: データシート指定の容量範囲内か、セラミックの場合はDCバイアス特性で実効容量が確保できるか。

セラミックコンデンサは印加電圧で容量が大きく落ちます。MLCC 22uF/6.3V を 5V 出力に使うと実効10uF以下になっていることがあり、出力リップルやループ補償の前提が崩れます。

3. フィードバック分圧抵抗

チェック内容: 抵抗値の組合せがデータシートの推奨範囲か、リーク電流影響を受けない値か。

LDO の場合、FB 抵抗が高すぎるとノイズに弱く、低すぎると消費電流が増えるLM317 の場合、IADJ * R2 の影響を考慮して R1 = 240Ω が定石。

4. ENピンの初期状態

チェック内容: EN ピンを VIN に直結していないか。ソフトスタート用RC を入れているか。

TPS544B28 のデータシートには明確に 「EN を VIN に直結することは推奨しない」 と書かれています。理由は突入電流とリスクワットアップタイミング。GPIO 制御 or RC 遅延で立ち上げるのが正解。

5. PG(Power Good)出力の終端

チェック内容: オープンドレイン出力に対する外部プルアップが入っているか、プルアップ先電圧が適切か。

PG ピンはオープンドレインなので、プルアップしないと信号が浮く。プルアップ先電圧は監視先ロジックの I/O 電圧に合わせる(典型的には 3.3V)。

6. SW ノードのレイアウト距離

チェック内容: SW(スイッチング)ノード → インダクタ → 出力コンデンサのループが最短か。

TPS544B28 のように SW ピンが複数(pin 7,8,9)あるICでは、全SWピンを一塊のポリゴンで結合してインダクタへ繋ぐのが基本。ここを長く引き回すと EMI / リンギングが酷くなります。

7. PGND と AGND の分離・ベタ接続

チェック内容: PGND(パワーグランド)と AGND(アナロググランド)が IC直下のサーマルパッドで結合されているか。

TPS544B28 は PGND と AGND が別ピンで存在します。IC 直下で「一点接続」にするのが基本。離れた位置で結合するとフィードバック経路にスイッチング電流が乗ります。

8. ブートストラップキャパシタ

チェック内容: BST ピン → SW ピン間に推奨容量(通常 0.1uF〜0.22uF)が入っているか。

ハイサイドFETを駆動する電圧源なので、これが無いとハイサイドが ON しません。データシートで容量と電圧定格を必ず確認。

9. PMBus / I2C 配線とプルアップ

チェック内容: SDA / SCL のプルアップ抵抗値(典型 4.7kΩ〜10kΩ)、配線長、他デバイスとのバス共有時のアドレス重複。

TPS544B28 は ADR ピンの抵抗値で PMBus アドレスを設定します。抵抗値の精度(1%品推奨)と他デバイスとのアドレス衝突を必ず確認。

10. 熱設計(サーマルパッド・ビア)

チェック内容: サーマルパッド配下の Via 数、ベタ銅箔面積、計算上の Tj が定格内か。

TPS544B28 のデータシートは 「PGND ピン直下に多数のビア」 を要求しています。ビアが少ないと熱抵抗が高く、Tj が容易に 100℃ を超えます。


自動化できる範囲

この10項目のうち、CAD や ERC で機械的にチェックできるのは限定的です。ScoutChecker では、ピン定義テーブル(TI_TPS544B28_pin.txt)と組み合わせて以下を自動判定します:

  • VIN / PGND / VOUT に対応したコンデンサが BOM 上に存在するか
  • EN ピンが直接 VIN に接続されていないか
  • PG ピンに対するプルアップ抵抗が存在するか
  • SDA / SCL のプルアップ
  • 1ピンネット(信号が宙ぶらりん)の検出

TI 電源IC 対応一覧 でサポート型番を確認できます。

レイアウト関連(項目6, 7, 10)は配置情報が必要なので、ScoutChecker では現状チェック対象外です。これらは PCB EDA 側のレビューで担保する必要があります。

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